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地域公共交通コーディネーターメルマガ 第16号 2010年11
月9日発行
          中部運輸局URL 
http://wwwtb.mlit.go.jp/chubu/
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このメールマガジンは、地域公共交通に関する新着情報や中部運輸局ホームペ
ージに掲載された最新情報、政策の説明等を、登録いただいたコーディネータ
ーの皆様に配信しています。
地域公共交通に関する情報収集の際にご活用ください。
 
***** 目 次 *****
◇ 地域公共交通コーディネーターだより
◇ 地域における動き
   地域公共交通会議等の開催状況について
   地域公共交通会議等の開催予定について
◇  地域公共交通Live情報
   1.地域公共交通会議等の協議情報
   2.管内のコミュニティバス等運行情報・許認可情報
◇ 中部運輸局自動車交通部からのお知らせ
◇ 担当者の思うところ
◇ 編集後記
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◇ 地域交通コーディネーターだより
<なぜ、人は移動するのか?>
 各地の公共交通に関する仕事をお手伝いする中で、「なぜ、人は移動するの
か?」という根本的な疑問を、ふと思うことがある。
 「移動抵抗」という言葉があるように、移動というのはそれに伴って、何か
らの費用や時間や苦痛を生じるものであり、できれば避けたいと考えるのが
般的な理解であろう。
実際、公共交通によるものか、自家用車によるものかを問わず、移動には幾ば
くかの費用と時間と苦痛がついてまわる。環境負荷も発生する。にもかかわら
ず、都心部では満員電車に押し込められて、地方では疲れていても運転をして、
人々は移動をする。
 では、「なぜ、人は移動するのか?」。
もちろん、人間、生きていくためには職場に通勤したり、買い物をしたり、病
気をしたら通院したりしなければならない。しかし、これらの活動が絶対に移
動を伴うものかというと、現在は過渡期であるとはいえ、情報化の進展で多く
のことがそうではなくなりつつある。実際、私自身の生活を振り返ってみても、
ネット通販で本やCDを買うことは珍しくないし、電話一つで家電製品の修理を
頼むこともある。ネット環境が整っていれば(あと、上司が許せば)在宅勤務
ができるという人も大勢いるだろう。
身体的な能力が低下しつつあるお年寄りには、往診を充実させた方が良いとい
う考え方もあるだろうし、移動販売車や宅配サービスといった新しい販売形態
によって日常的な買い物を満足させるという考え方もあるだろう。また教育も、
将来的にはe-ラーニングの方が費用効率的に授業を行えるかもしれない。高齢
者や子供の移動を減らすことは、交通事故防止の観点から見ても有効な面があ
るだろう。
であれば、情報技術を駆使した自動車の安全システムの開発や、往々にして利
用者が少ないという批判の的にさらされる公共交通の維持に躍起になるよりは、
「移動を減らしつつもサービスは維持する」というコンセプトに基づいた、在
宅サービスの技術・運用方法などの開発に注力した方が効果的かも知れない。
『どこでもドア』は、「行きたいところへすぐ行ける」夢のような道具だが、
それが何らかのサービスを受ける際に、極限まで移動抵抗を減らす道具である
と考えると、今や、パソコンとインターネット(電話という、より広範なユー
ザーに使いやすいデバイスでも良い)を使えば、「欲しいサービスをすぐ注文
(場合によっては、即座にダウンロード)できる」という、限りなく『どこで
もドア』に近い状態が既に存在するのである。もはや、「移動」は必然ではな
くなりつつあるのか。
 否、そんなことはなかろう。「移動」には「抵抗」の側面もあるが、「娯楽」
的な面も存在する。その最たるものは旅行(極端な例は、内田百閨A阿房列車
冒頭の「なんにも用事がないけれど、汽車に乗つて大阪へ行つて来ようと思う
」)であるが、そこまで大げさではなくても、買い物などのいわゆる「おでか
け」は、出かけた先での目的達成もさることながら、外の景色を楽しんだり、
家族や友人と会話をしたり、考え事をしたりと、移動中の過ごし方も含めて、
外出そのものを楽しむという意味を持っているからこそ、「おでかけ」という
言い方をするのだと思う。
実際、地方の路線バスやコミュニティバスに乗ってみると、乗客同士が楽しそ
うに会話をしている姿、移ろいゆく車窓を眺めている姿を目にすることができ
る。そして「買い物に行くのは楽しい」というのと同じくらい、「バスに乗る
のは楽しい」という声を聞くことができる。これすなわち、移動を含む「おで
かけ」が楽しいことの証左であろう。
これは公共交通に限ったことではなく、ドライブが娯楽の一つであるように、
自家用車による移動にもあてはまるだろう。そして、この移動に起因する楽し
さは、上述の在宅サービスでは実現しがたいと思われる。
 ゆえに、「なぜ、人は移動するのか?」に対する私なりの答えは、「それで
も人は移動する」ということになる。根本的に人は移動することが好きなのだ
ろう。それが便利で快適で楽しければ申し分がない。
そんなわけで、より便利で快適なだけでなく、より楽しい公共交通であれば、
もっと多くの人に振り向いてもらえるのではないかと思うのだが、この点は日
本の公共交通であまり顧みられてこなかったのではないだろうか。それどころ
か、最近ではコスト削減・合理化の流れにより、その傾向に拍車がかかってい
るようにさえ思える。
成熟社会の公共交通は、もっと遊び心があっても良いのではないだろうか。乗
ることで楽しくなる公共交通を、少しずつだけれども、いろんなところで提案
していきたい(悪ふざけと思われて却下されるかも知れないが)ように思う、
今日この頃である。
                  地域公共交通コーディネーター
                  名古屋大学大学院 研究員
                       福本 雅之
                          
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◇ 地域における動き
「地域公共交通会議等の開催状況について」※中部運輸局把握分
平成22年度における各県ごとの開催状況は運輸局のホームページに掲載しま
したので下記アドレスをご参照願います。(8〜10月開催分)
http://wwwtb.mlit.go.jp/chubu/tsukuro/kassei/kaigi_info/pdf/kkk_info.pdf
なお、会議の詳細につきましては、各地の地域交通担当者までお問い合わせく
ださい。
 
 「地域公共交通会議等の開催予定について」※中部運輸局把握分
11月以降に開催(予定)の地域公共交通会議は以下の地域となっております。
【愛知県】
・11月1日 長久手町※、11月16日 東海市※、11月18日 江南市、
 11月29日 東郷町
【静岡県】
・11月17日 袋井市
【岐阜県】
・予定なし
【三重県】
・11月19日 津市※
【福井県】
・予定なし
※は活性化・再生法の法定協議会との合同会議
 
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◇ 地域公共交通Live情報
1 地域で開催されている地域公共交通会議での議論の一部をご紹介します。

(知多市地域公共交通会議)
 知多市のコミュニティバスは、運行以来75歳以上の高齢者の運賃を無料とし
てきましたが、利用者の6割以上が無料の高齢者であり、財政状況が逼迫した中
での受益者負担という考えで有料化への議論がされました。住民代表の委員を
はじめ各委員からは、公共交通の持続的な維持や公平性の観点から賛成との意
見が多く出され、安定した運営のための意識を共有し議論されています。さら
に、単に有料化にするだけではなく高齢者用の定期券などサービス向上策をあ
わせて実施し、利用者増に向けた検討がおこなわれています。
 
(津市地域公共交通会議)
 津市では合併後の交通体系の見直しとして、これまでの旧市町でバラバラで
あったコミュニティバスサービス水準を4月に統一しました。内容は無料から
有料や、路線・ダイヤの見直しを図ったものですが、一部では1ヶ月の利用者
が0人の路線もあり、更なる路線の見直しの必要性が生じています。広域合併
による住民感情等からも簡単に廃止できない状況があり、市では利用者アンケ
ートを行いながら見直し計画を進めることとしています。また、今年度にコミ
バス事業のPDCAや評価指数を設定する事業評価策定を計画していますが、
存廃を含めた判断基準の重要性についても考えさせられるものでありました。
 
(木曽岬町地域公共交通会議)
 木曽岬町の自主運行(自家用有償)バスについては、従来の民間バス路線の
廃止に伴い運行を開始したものですが、利用者増により昨年12月から車両を
1台増強し、運行本数を増便するなどの対応を行ってきましたが、現在も利用
者が増加しており、特に朝の便には積み残しが発生するなどの現状から、車両
の大型化などの更なる要望が出てきています。このため町では、今後は事業者
への運行費補助による運行への切り替えを検討していますが、担当者にとって
は、自家用有償運送による利用者への対応や安全確保等の責任が重圧となって
いることが伺い知れます。
 
(南越前町地域公共交通会議)
 南越前町のバスは、町村合併以前より南条福祉バス(南条地区)、住民利用
バス(今庄地区)、福鉄路線バス(河野地区)等、様々な形態のバスが運行さ
れていますが、合併から4年が経過し運行ダイヤ、運賃などサービス水準面で
地域間の格差が課題となっています。
 当会議では、これら問題に対し各委員から多くの意見、要望が出され、事務
局としてすべて受け止める事は出来ず、限られた会議時間の関係から、提案に
対する十分な議論がなされることもなく、事務局で検討を進めることとし議事
が終了しました。
 今回のように多数の提案がある場合、自治体の方針を提示しつつ要望の仕分
を行ったうえで、各会議(分科会の活用を含め)での実効性を含めた議論に
繋げていくことが望まれます。
 
 
2 管内のコミュニティバス運行情報及び許認可情報
 中部運輸局のホームページに中部地区のコミュニティバス運行情報をUPし
ています。許認可情報についても併せて掲載しておりますので、こちらをご覧
ください。
http://wwwtb.mlit.go.jp/chubu/bus/commubus/commubus.html

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◇ 中部運輸局自動車交通部からのお知らせ
<コーディネーター会議の開催>
11日1日に地域公共交通コーディネーター会議を中部運輸局会議室におい
開催しました。
今回の会議は、よりよい地域公共交通の実現に向け、各自治体で開催されて
る地域公共交通会議等の議論を如何に深めていくのかという視点で、各コー
ィネーターの皆様と意見交換を行いました。
議論としては、地域におけるまちづくり等の計画のありかたや、会議に参加
る交通事業者や住民代表の意識のありかた等の視点から、各地の状況をそれ
れの立場からご発言いただき、有意義な情報交換ができたのではと思ってお
ます。
お忙しい中、ご出席いただきましたコーディネーターの皆様には本当にありが
とうございました。
なお、会議でもお願いしました、各地域公共交通会議等における議論の事例紹
介につきまして、お手数ではありますがご紹介いただけますようよろしくお願
いいたします。
  ◆ 議事概要及び会議の資料はこちらをご覧下さい
    http://wwwtb.mlit.go.jp/chubu/tsukuro/joho/coordinator/index.html
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◇担当者の思うところ
 日頃運輸局担当者が業務を行なっている中で、ふと気づいた事や素朴な疑問
について思うままにつづっていきます。
<既存事業者路線をコミバス化する自治体が増加>
 バス事業者が赤字を理由に廃止した路線については、沿線自治体が住民を救
済するためにやむなくコミバス化するというケースが従前より多く見られます
が、この10月を境に、住民の使い勝手をよくするために、沿線自治体が自ら
先取りしてバス事業者路線をコミバス化するケースが顕著に見られるようにな
りました。
 「コミバス化」といっても様々な選択肢がありますが、独自の運賃制度を導入
したり、既存バスとの接続を向上したりと、最近は各地区の公共交通会議にお
いて様々な方法が検討されています。
 例えば、岐阜バス荘川八幡線のような国、県補助金を受けながら運行してい
る伝統的長大路線については、沿線の郡上市が利用実態にあったように長大路
線をカットしてコミバス化したケースや、以前は観光色豊かであった知多バス
豊浜線においては、南知多町が町民の生活スタイルにあった通院や通学中心の
路線に再編するケース。豊栄交通トヨタ本社線に至っては、路線単体では黒字
であっても、特定企業の通勤客以外にも広く市民に使いやすいような路線にす
るよう豊田市が自ら切り込んだケースも見られます。
 バス事業者単独で路線の収支を合わせることが難しくなった昨今、事業者単
独で路線を思い切って再編することは難しいかと思われますが、地域公共交通
会議の場を活用し、様々な意見や利害関係者の協力を得ることにより、今以上
に利用者とって使い勝手のよいバスが走ることになるかもしれません。
 
 
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◇ 編集後記
 地域公共交通コーディネーター会議には多くの皆様にご参加いただきました
ことをこの場をお借りしまして厚くお礼申し上げます。
  先日、実施されました「元気な日本復活特別枠要望」のパブリックコメント
の結果が発表され、「地域公共交通確保維持改善事業〜生活サバイバル戦略〜」
が全189事業中、第9位の5,526件のご意見をいただき、各設問に対し
95%以上の方から肯定的なご意見をいただいております。
 今後、各府省からの要望ヒアリング(公開)が実施され、優先順位付けがさ
れたのち、総理による配分額が決定される予定になっており、要求額が満額認
められるように取り組んで参りますので、行方にご注目下さい。
参考:内閣官房ホームページ
 http://seisakucontest.kantei.go.jp/article/public_comment 
 
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ら、お手数ですが、以下の発行元までご連絡ください。
 
            《発行元》中部運輸局自動車交通部(旅客第一課)
                電話:052-952-8035 FAX:052-961-0816
                    Email:merumaga-j@cbt.mlit.go.jp
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